禁煙外来について
どんなに精神力の強い人でも、自分の力だけで喫煙したい気持ちを抑えるのは困難です。
ですがやめられないままたばこを吸い続けると、喫煙者だけでなく、受動喫煙によって周囲の人にも健康被害が及びかねません。
特に対象になりやすいのはご家族であり、お子さまへの悪影響も懸念されます。
禁煙外来とは、これらのリスクを解消するため、医学的な見地からのアプローチで禁煙を目指すものです。
禁煙外来の特徴は、喫煙の原因を意志の弱さや習慣として片付けず、治療が必要な病気として捉えることです。
医師の治療と看護師の支援により、再び喫煙することのないように根本的な改善をおこなえます。禁煙状況のチェックやアドバイスも随時実施しますので、少しでも不安に思う点があればいつでもご相談ください。
また、1日の喫煙本数×喫煙年数であらわされる禁煙指数や、スクリーニングテストなどで一定の要件を満たしていると健康保険適用となり、金銭的な負担が軽減されます。
健康保険が適用できるか否かを判断するためにもテストが必要となりますので、まずはご来院ください。
ニコチン依存症について
喫煙習慣がある人の多くがわずらっている病気は、ニコチン依存症と呼ばれるものです。
ニコチンは強い依存状態を招く化学物質であり、喫煙習慣により徐々に発症していきます。
症状が進行するに従い、体内のニコチンの濃度が不足することによって、喫煙の衝動が抑えられなくなるのです。
落ち着きがなくなってイライラしたり、不安を感じて集中力が著しく欠けたりするなど、日常生活や仕事に支障が出てしまうことも珍しくありません。
喫煙歴が長ければ、その分だけニコチンの作用が恒常的になっており、依存状態からの脱却に時間がかかります。
高い割合の喫煙者がニコチン依存症を発症していると見られており、そうでない方も喫煙を続ける限り、いつかは症状が現れて深刻化していく可能性が高いです。
そのためヘビースモーカーだけでなく、現在はそこまで多く吸っていない方もニコチン依存症に警戒しなければなりません。
禁煙治療の方法
禁煙治療の代表的な方法は、禁煙補助薬を使用していただくことです。禁煙補助薬には貼り薬や飲み薬があります。
いきなり喫煙の習慣を断つと、体内のニコチンの濃度が大きく低下して、離脱症状により苦しくなってしまいます。
しかし、ニコチンパッチを皮膚に貼っておくと、そこから少量のニコチンを体内に取り入れられるので、離脱症状に陥るのを抑制できるようになります。
喫煙しなくても自然体を保ちやすくなるため、無理をせずに禁煙を続けられるのです。
もちろん、このような禁煙補助薬の使い方も含めて、禁煙の成功に必要なアドバイスを医師が行うことも重要な治療の一つです。
喫煙歴や体質などを十分に考慮したうえで、進捗状況を見ながら適切な方針を指導していきます。
禁煙外来の流れ
禁煙治療では、基本的には12週間かけて合計5回の診察を行うことになります。流れを簡単にご紹介します。
①来院・受付
まずは当クリニックにお越しいただき、窓口で禁煙外来を希望する旨を伝えていただいたうえで受付をお願いします。
②ニコチン依存症のチェック・呼気の一酸化炭素濃度の測定
初回に行うのは、健康保険適用の判定に必要なニコチンへの依存度を確認するテストです。
また、これからの治療方針を決めるにあたり、呼気の中の一酸化炭素濃度の測定も実施します。
③問診とアドバイス、禁煙宣言
以上のニコチン依存症のチェックが完了したら、本格的な問診を開始して現在の健康状態や禁煙歴を詳しく聴いたうえで、アドバイスをいたします。
今後の禁煙治療の流れについてもご紹介し、ご同意いただいた場合は「禁煙宣言書」にサインしていただきます。
④禁煙補助薬の選定
禁煙宣言が完了したら、これから使用する禁煙補助薬の特徴や使い方をご紹介します。
ニコチンパッチ・飲み薬などのなかから、これまでの診察内容を踏まえて適した補助薬を選定いたします。
⑤通院2~4回目まで
2回目以降は、2~4週の間隔でご来院いただき、初回と同じく一酸化炭素の濃度を測ります。
そして、問診によって禁煙の状況をチェックし、離脱症状や禁煙補助薬の副作用などに関する確認も行います。
⑥禁煙治療の終了
5回目も一酸化炭素の濃度を測定し、問題がないことを確かめたうえで、禁煙を継続する心得などを説明して治療を終了します。
また、今後も禁煙を続けていけるようアドバイスをいたします。
みなさまの禁煙が成功するように最大限サポートいたしますので、たばこでお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。