報道にて、新型コロナウイルス(以下、COVID-19)のPCR検査が保険診療で認められるようになる、と言われています。
こういった情報がマスコミなどを通じて広がることによって、今後、「不安なので、検査してください」とクリニックに来院される患者さんが増えることも予想されます。
そして、外来でそれについて説明をさせていただくわけですが、限られた診療時間で充分説明できませんので、あらかじめ記載させていただきます。
(鳥取県内ではまだ発症報告がないのに気が早いと思われる方もおられるでしょうが、ご了承ください。)
現時点で、どのような患者さんに検査をするのか、どのような環境で検査をするのか、などの通達はなく、我々も報道以上の事はわかりません。
COVID-19のPCR検査に関しては、国立感染症研究所から感染管理ガイドラインが出ています。
新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(2020年2月21日改訂版): https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9310-2019-ncov-1.html?fbclid=IwAR1qbJcnD8v2uTEYwrAvtzi-eMjGylzAtT4fSalyYSopsq_jdDpSXF1vfvo
鼻腔ぬぐい液もしくは咽頭ぬぐい液を採取し検査に出すことになりますが、採取する際に、くしゃみなどでウイルスが拡散する恐れがあります。そうすると、採取する医療従事者や、その後にその部屋に入った患者さんが感染する可能性が出てきます。
また、上記のガイドラインには、「患者の気道吸引、気管内挿管、検体採取などエアロゾル発生手技を実施する際には N95 マスク(または DS2 など、それに準ずるマスク)、眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)、長袖ガウン、手袋を装着する」基本的には、おきさいされておりますが、これらの物資は既に入手困難です。
さらに防護服も着脱の手順を間違え、感染ゾーンと安全なゾーンとの区別が無くなれば、クルーズ船で起こったような感染拡大を起こす可能性があります。
当院では小規模なクリニックであり、入り口を分離したり、感染が疑われる方を個別のゾーンに隔離したりすることは不可能です。
また、別個に診療施設を設けることも不可能です。
すなわち、今回の新型コロナウイルスの検査については、一般のクリニックで行なうことができる検査ではないとご理解いただきたいです。
保険適応になっても、検査の対象は、厳密に選択された方ということです。
これだけの管理をした検査をできる体制は、地域ごとに限られた施設になります。
新型コロナウイルスがかなりの確率で疑われ、重症化している、もしくは重症化する可能性が高い方を、限られた施設で検査をする、そういう状況であると考えてください。
このため検査、診療の体制が整うまでは、保険収載されたとしてもCOVID-19のPCR検査、診療は、通常診療のクリニックでは不可能だということです。
またそういった状況を踏まえて、もう一点、お願いがあります。
現在、全国各地でCOVID-19感染例が散見されます。各県で徐々に出現しております。
わが鳥取県でも時間の問題です。
これからのさらなるパンデミックを防ぐ時期、各地でCOVID-19が広がり始めているタイミングということを理解してください。
つまり、街の中、電車の中、クリニックの中、どこにでもいる可能性があるのです。
コロナウイルス自体は、たいていの人には、ただの風邪を引き起こすだけのウイルスです。
(今回のCOVID-19の感染力はまだ正確には不明ですが…)
ただ、高齢の方、免疫力が落ちている方などは、肺炎を起こしたり、それが悪化してしまうことがあります。
ちょっと検査がしたい、ちょっと体調が悪いという方がクリニックに来ると、そこで逆にもらってしまう可能性、(自分がそうかもしれないので)高齢者に移してしまう可能性もあります。
実際はその他の風邪である、インフルエンザ、溶連菌、アデノウイルス感染なども多くおられると思いますが、症状のみで判別することは現状困難であり、新型コロナウイルスが原因の可能性も含まれています。
そのため、あれ、コロナかもしれない、と思うような方の検査をする場合には、やはり前述したような診療体制を取らなければならないことになります。
現時点で、クリニック内で新型コロナウイルス陽性の患者さん、もしくは医療スタッフが出た場合には、一定期間(14日間程度は)クリニックを閉院しないといけないという可能性もあります。
まず一人一人ができることは、不要不急の外出を控えること、手洗い・うがいなどを徹底することからではないでしょうか。
いろいろとご意見はあるかと思いますが、幸いなことに今年はインフルエンザの患者さんは少なく、今は新型コロナウイルス(COVID-19)の封じ込めが大切な時期で、特に高齢者に感染させないことが必要です。
ご協力、なにとぞよろしくお願いします。
なお、これまで通り、下記の症状がある方は、まず帰国者・接触者センターにお問い合わせください。
● 風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く方(解熱剤を飲み続けなければならない方も同様です。)
● 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方
※1 次のような方は重症化しやすいため、この状態が2日程度続く場合にご相談ください。
高齢者、糖尿病・心不全・呼吸器疾患(COPD 等)の基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方
※2 妊婦の方については、念のため、重症化しやすい方と同様に、早めに帰国者・接触者相談センターに御相談ください。
※3 小児については、現時点で重症化しやすいとの報告はなく、新型コロナウイルス感染症については、目安どおりの対応をお願いします。
(鳥取県 発熱・帰国者・接触者相談センター)
東部地区発熱・帰国者・接触者相談センター(鳥取市保健所内)
(管轄:鳥取市、岩美町、若桜町、智頭町、八頭町)
電話:0857-22-5625(平日8時30分~17時15分)
0857-22-8111(上記時間外)
ファクシミリ:0857-22-5669
中部地区発熱・帰国者・接触者相談センター(倉吉保健所内)
(管轄:倉吉市、三朝町、湯梨浜町、琴浦町、北栄町)
電話:0858-23-3135、0858-23-3136
ファクシミリ:0858-23-4803
西部地区発熱・帰国者・接触者相談センター(米子保健所内)
(管轄:米子市、境港市、日吉津村、大山町、南部町、伯耆町、日南町、日野町、江府町)
電話:0859-31-0029、0859-31-9317
ファクシミリ:0859-34-1392
<対応時間>
電話:24時間対応(土日、祝日を含む)
ファクシミリ:午前8時30分~午後5時15分(土日、祝日を除く)
詳細は、発熱・帰国者・接触者相談センターのホームページ(https://www.pref.tottori.lg.jp/289705.htm)をご覧ください。